雨後に戯れて咲く水仙や 雨粒の手土産渡す 白ツメクサに
花を知られぬ銀杏の木 実を隠す葉の 扇のごとく
初めて開ける世界の扉 いつその顔を上げようか 悩んでる
いつか一斉に咲くような 気持ち持つこと 夢という
青空の虹に触れるような 出会い 森の木陰で咲く花よ
赤い花弁あちむきこちむき 奔放に 自由の姿
そんなふうに 思っていたときがあった
一篇の詩は 薬でもなければ 警察でもなければ 医者でもない 苦悩を取り除く魔法ではない
それぞれの時代に 苦悩しながら戦い生き抜いた人の声 活字から突き抜けて 詠む者の心を鷲づかみにする
「人間の勝利」で苦しむ人間を励ます 倒れるときは人間の強さを見せて倒れろと 山村暮鳥*の詩
病に苦しみながら日を重ねることは 死に近づくことを意味する日々の中 「爪」だけがよく伸びて生を主張する 加藤介春*の詩
秋の空、木の葉、光、水、鳥、獣、風、、、 清浄なものが心を満たしていく「秋の祈り」 醜を認識するのは自己の魂を映す 厳しく美しい心の鏡があるから 高村光太郎*の詩
自然を愛し人を愛する 宮沢賢治*の詩
「新しき村」に挑戦した博愛主義の実践者 誰もが願いながらも実践は難しい 武者小路実篤*の「人間」 「自分の最ものぞむことは自分の幸せが 他人の幸せと一致することである。」と
日本がまだ貧しい頃の人々の姿を綴った「車の音」 日が昇る前から働く農夫達の木の輪の音が何よりも勝ると 素朴な人々への恵まれない人々への優しい眼差し 千家元麿*
晩年の孤独の寂しさをそのまま 「寂しき春」と率直に呟く 室尾犀星*
一篇の詩は雪原の足跡の光 光の元は 悲しみ 痛み 恐れ 嘆き そして勇気 夢 喜び 願い 歩いた者たちの魂の足跡
足跡に触れた者たちは その心に灯火を灯す 悲しみを重ね合わせ 痛みを日にかざし 恐れをにぎり 嘆きをなぞり 空虚を追い出し 苦悩を戸棚に仕舞い 諦めを投げとばす
勇気の灯火に火がつけられる 夢を膨らませ 願いが灯る 真実無心に歩いた人々から
頭をあげよ 前を向け 手をとれ 風の音を共に聞け 木々の苦しみを共に聞け 動物や虫の痛みを共に知れ 目を開けて見よ 忘れてはならないことを 忘れるな 歩めと
足跡の光